日本の精神科病院や入所施設には、本来は家族と一緒に暮らしたり、あるいは一人で暮らすことが可能でありながら、地域生活を支える体制がないために入院/入所生活を余儀なくされている方がたくさんおられます。
特に、精神障害としては寛解(治まっている状態)し入院治療の必要がないのに、精神科病院に入院している方々が全国で7万人以上います。外国にはほとんど見られない現象で、日本の精神科医療の非常に大きな課題になっており、「社会的入院(患者?)」と呼ばれています。
参考資料あり>>
そのような方々の退院とその後の地域での暮らしを支える体制つくりを行なうのが「地域移行支援」です。
これまで、いづみ福祉会が退院支援を担った方は6人。これまで最も長く入院されていた方は、必要がないのに30年以上入院しておられました。その方は、現在アパートでヘルパーや相談支援員の訪問支援を受けながら、一人暮らしを5年続けておられます。
アパートが決まったとき「これが僕の住所か」「ここが僕の家か」「2度と入院はしたくない!」と本当にうれしそうに語っておられました。しかし、「ひとり暮らしはさびしいなぁ。もう一回入院でけへんか?」と愚痴をこぼされることもありました。
そんなIさんでしたが、先日初めてワーキングセンターの給料をもらった時、アパートが決まったとき以上のうれしそうな表情で「昨日給料もらってん。7000円も!20年ぶりや!腕時計買ってラーメンと寿司食べに行く」と言われ、「もう一回入院したい言うのやめる。仕事して給料もらう」とあっさり再入院希望を撤回されました。
このような方が日本に7万人!
遅々として進まない精神科病院の社会的入院の解消ですが、いづみ福祉会としてはこの問題を基本的人権の問題として捉え、ひとりでも多くの人が人間として当たり前の生活を送るために、支援を重ねていきたいと思います。
|